今朝目が覚めると、部屋の窓から春らしい陽気な日差しが差し込んでいて、床の上に光の四角ができていました。
僕はその四角の上に足を乗せてみました(特に意味はない)。特別何かが起こることはなく、ただ温かい光を感じただけでした。
朝食にパンを焼こうと思ったけれど、トースターが壊れてしまったらしく(トースターは祖父の遺品で、かつては有名な陶芸家の手によって製造されたものだという話を勝手に考えている)、仕方なくフライパンでパンを焼くことにしました。
しかし、フライパンもなぜか見つからない。昨日の夜、台所で見かけたはずなのにどこにもありません。
そのうち、フライパンはもしかすると旅に出たのかもしれないと思い始めました(ちなみにフライパンには足がないので旅に出るのは難しいはずだが、人生には予想外のことがつきものである)。あるいは、部屋のどこかにフライパンを盗む小人が住んでいるのかもしれない。そう考えると、今後の生活が少し不安になりました。
結局、焼くことを諦めた僕は、生のパンにジャムを塗って食べました(ジャムはイチゴ味で、原材料にはイチゴのほかに「愛情」と「勇気」と書いてあるが、法律的に許されているのだろうか?)。ジャムの甘みが口の中で広がって、意外にも生のパンは悪くないということに気づきました。
午後になり、僕は散歩に出ることにしました。散歩といっても特に目的はなく、ただ町内をぐるぐると歩き回るだけのことです。
道の途中で黒猫に遭遇しました。猫はこちらをじっと見つめていました(猫の視線には一切の感情がなく、まるで税務署員のようだった)。
僕は猫に挨拶をしましたが、猫は無言のまま立ち去ってしまいました。猫という生き物は、時に無礼です。
歩いているうちに、公園に着きました。公園には桜の花びらが散っていて、地面をピンク色に染めていました。
僕はベンチに座って、足元の花びらをぼんやりと眺めました(その花びらの数は正確に387枚だったかもしれないが、数えていないので証明できない)。
風が吹くと花びらが空中を舞い、どこか遠くへ飛んで行きました。僕も花びらと一緒にどこかへ飛んで行きたいと思いました(しかし人間には羽がないし、航空券を買うにはお金が足りない)。
公園を出て家に戻る途中で、スーパーに寄りました。特に買いたいものはなかったけれど、気づけばヨーグルトを手に取っていました(ヨーグルトのパッケージには「毎日一杯の笑顔」と書いてあったが、ヨーグルトの中に本当に笑顔が入っていたらかなり怖い)。
帰宅後、ヨーグルトを食べてみましたが、笑顔は入っていませんでした。代わりに乳酸菌がたくさん入っていました(乳酸菌は目に見えないので、実際には本当に入っているかどうかもわからない)。
夜になり、僕は今日も何も特別なことがなかったなと思いながらベッドに入りました。特別なことがない日が続くことに少し焦りを感じますが、たぶん人生はそういうものなのだろうと思いました。
明日は何か特別なことが起こるかもしれません(例えば宇宙人が訪問してきて僕を宇宙へ連れ去り、銀河連邦の総統に指名するとか)。それを楽しみにしつつ、眠りにつきました。