いまはむかし、ゆあみのおきなといふものありけり
タイプリュータ
/ 2014-06-24
ある日男は、週一で温泉に入らなければならないという呪いを受けてしまいました。
ひとたび温泉を断つと、首は軋み、肩は石のように硬く、動くこともままならない状態となり果てるありさま。
男は呪いを解くため、温泉を欠かさないようになりました。
都市部ともなれば、温泉などそう気軽に入りに行けるものではありませんが、
男が住んでいたのは、運のよいことに石川県でした。
和倉、湯涌、辰口、山中、山代、片山津…
石川県はいたるところに温泉地があり、男は九死に一生を得ました。
今日もまた、仕事帰りにひと風呂入りに行く、男の姿がありました。
オチはとくにありません。