正しさの日本語
菅 次郎
/ 2015-08-05
「穴があったら入りたい」という慣用句に違和感を覚えます。
穴があろうとなかろうと、「入りたい」という欲求を抱いていることには変わらないはずだからです。
厳密には「穴に入りたいが、入るのに適した穴がない」と言うべきでしょう。
また、もし穴がある場合は四の五の言わず、「失礼します。恥ずかしながら、私、穴に入らせていただきます」と言って、ただちに入るべきです。
ここで問題になるのは、落とし穴に落とされたために恥ずかしい思いをした、という場合です。
恥ずかしいと思った時点で、すでに穴に入ってしまっているわけです。
この場合は、穴に入る手間を省いてもらったわけですから、「穴にお招きいただきありがとうございます」と言うべきです。
また、それだけでは恥ずかしいという感情が相手に伝わらないので、別途、顔から火を出すなどしましょう。
それでは次回は、旅行中に恥をかいた際のかき捨て方について解説します。