ゲームフォーラム『「遊ぶ」から「創る」時代へ
~民主化されたゲームエンジンとインディーズゲームの可能性~』取材レポート!

11月16日(土)に、ゲームフォーラム
『「遊ぶ」から「創る」時代へ~民主化されたゲームエンジンとインディーズゲームの可能性~』を金沢工業大学とグランゼーラで共同開催。
学生さんを中心に、小学生から一般の方まで、たくさんの方々にご参加いただきました。

オープニングの様子
金沢工業大学とグランゼーラによる共同ゲーム制作プロジェクトが紹介



【オープニング】

オープニングでは、今回のゲームフォーラムが実現したきっかけとなった、今年で3年目となる金沢工業大学とグランゼーラによる共同ゲーム制作プロジェクトが紹介されました。
登壇した金沢工業大学 産学連携室の山部副学長は、「金沢工業大学では、学生が実社会に出て問題・課題をみつけ取り組んでいく『プロジェクトデザイン』というユニークな授業を行っており、このゲーム制作プロジェクトもそうした取り組みの一環だ」と語っておられました。
共同制作第1弾として、今年9月にはPlayStation®Home「大江戸・地底モノノケ競走」がリリース。制作チームの学生からは、「ゲーム制作ではグランゼーラから厳しい意見をいただき、自分が考えていた以上に働くことの厳しさを学びました。これから社会に出ていく心構えができました」との感想が述べられました。

金沢工業大学 産学連携室 山部副学長のご挨拶
グランゼーラと共に「大江戸・地底モノノケ競走」を共同制作した学生の皆さん



【講演第1部】

「PlayStation®Mobileの現在と今後の展開について」
株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)
第1事業部 オープンプラットフォーム事業推進部 浅野剛史 氏

『ワンダと巨像』の制作にゲームプランナーとして携わったという浅野氏。現在はオープンプラットフォームの普及に努める氏からは、誰にでもプレイステーションのゲームが作れるプラットフォームとして、PlayStation®VitaおよびAndroid OS搭載端末で動作する「PlayStation®Mobile」(以下、PSM)が紹介されました。
実際にPSMでリリースされているゲームとして、『勇者のくせにこなまいきだ』、『Cytus(サイタス)』、『CHAOS RINGS(ケイオスリングス)』、『僕は森世界の神になる』といった例を紹介しながら、PSMのゲーム開発の環境について説明。現在、PSMのパブリッシャーライセンス(ゲームを販売する権利)は個人でも無料で取得できるということです。さらに、「誰でも自分の作ったゲームを世界中で販売することができる」と浅野氏は語っておられました。

SCE 浅野氏


【講演第2部】

「世界をゲーム化するUnity」
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社
日本担当部長 大前広樹 氏、リードゲームデザインリサーチャー 簗瀬洋平 氏

大前氏は、かつてフロム・ソフトウェアにてゲーム機向けの開発環境の設計・開発やミドルウェアの導入などを担当、現在はユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクターとして、Unity の普及に務めています。一方、簗瀬氏は、ゲームデザイナーやシナリオライターとして開発に携わった後、研究職に転身なされ、現在はゲームデザイン研究者をされています。両氏からは、ゲームエンジン「Unity」の存在意義が語られました。

Unityは、様々なプラットフォームに対応したゲームエンジンで、無料ライセンスでもかなり高度なゲームを制作することができ、Unityの登場によって、かつて数十人で行っていた作業が一人でできるようになったといいます。
「Unityでは、個人が思いついたことをすぐ形にできるため、『Cool』なゲームばかりでなく、『Crazy』なゲームもたくさん世に出てきている」、「誰かが持っている『Cool』な要素や、『Crazy』な要素をゲームにして素早く世に出せるようにする。Unityはそんなゲームエンジンだ」と両氏は語っておられました。
また、聴講している学生へ向けて「大学生はプロのゲームデザイナーやクリエイターにはかなわないかもしれないが、どんなクリエイターにも負けない専門知識を持っている、また、それを学べる」と述べ、「それが大学生の一番の価値ではないか」と語られました。
最後に両氏は、「ゲームを作る環境は整い、発想を形にできる道具(Unity)も発信する場所(PlayStation®Mobile)もある。後は君だ!(ゲームを創る人)。想像力に制限をかけず、思いついたものを作って、人に見せて、フィードバックして、直して、そして発信してほしい。そのために『Unity』と『PlayStation®Mobile』がある。僕たちはそのことを伝えたくて今回来ました」と聴講者に呼びかけ、講演を結ばれました。

Unity 大前 氏 と 簗瀬 氏


【パネルディスカッション】

浅野氏、大前氏、簗瀬氏に加え、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(以下SCEJA)パブリッシャーリレーション部の伊東章成氏、グランゼーラ専務取締役CTOの吉田佳幸がパネラーとして参加。司会進行は金沢工業大学の福田氏が行いました。

ゲームは「『遊ぶ』時代から『創る』時代へ」と言うテーマについて、SCEJA伊東氏は「個人でのゲーム制作の盛り上がりは世界的な潮流」とし、「SCEは、個人がプロと同じ環境で活躍できる場所を用意していきたい。」と語っておられました。Unity大前氏は、「ゲームを誰でも作れるようにするのがUnityの使命」としたうえで、「ゲーム制作のハードルを下げ続けることによって個性的なゲームがたくさん出てくる。それが楽しみ」とも語られました。
グランゼーラ吉田は、「ゲームは、遊ぶことはもちろん楽しいが、制作するのはもっと楽しい。これを機会に、皆さんにもゲーム制作に挑戦してほしい」と呼びかけました。

その他、SCEやUnityがゲーム業界で果たすべき役割、未来のゲーム制作のありよう、地方でゲーム制作を行う利点など、予定時間をオーバーして活発なディスカッションが行われました。

パネルディスカッション

司会進行役の 金沢工業大学 福田氏
SCE 浅野氏
SCEJA 伊東氏

Unity 大前 氏
Unity 簗瀬 氏
グランゼーラ 吉田


【ゲーム制作プロジェクト発表】

金沢工業大学では、グランゼーラの協力のもと、「Unity」およびコンピュータグラフィックスソフトウェア「Maya」の技術習得を目的として、学生制作を進めてきました。今回、Unity作品50点、Maya作品40点のうち、それぞれ1点ずつの発表が行われました。

【展示ブース】

SCEブースでは、PSMの最新ゲーム3タイトル『勇者のくせにこなまいきだ』、『Cytus(サイタス)』、『CHAOS RINGS(ケイオスリングス)』を展示。

Unityブースでは、北陸初上陸となるヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)『Oculus Rift(オキュラスリフト)』の体験会を開催。
『Oculus Rift(オキュラスリフト)』は一般的なHMDのおよそ3倍もの視野角と、頭の動きに連動してゲーム内の視界を動かすヘッドドラッキング機能の応答性が高いのが特徴。
Unityを使って制作したデモをOculus Rift(オキュラスリフト)』使って見ると、これまでにない没入感があり、訪れた人々を驚かせました。

グランゼーラブースでは、金沢工業大学と共同制作を行ったPlayStation®Home「大江戸・地底モノノケ競走」を展示、実際にプレイすることもできました。
金沢工業大学ブースでは、学生が制作したUnity作品とMaya作品が6点展示されました。
どのブースも大盛況で、順番待ちの列ができました。
また、このゲームフォーラムの様子は、地元のテレビ局のニュースや翌日の新聞で紹介されました。

体験ブースの様子

金沢工業大学ブース、グランゼーラブース
SCEブース、Unityブース

最後に

この度は、ゲームフォーラム「「遊ぶ」から「創る」時代へ」に県内だけでなく県外からもお越しいただき誠にありがとうございました!

また、ご登壇いただきましたゲストの方々、ご協力いただきました金沢工業大学をはじめ、関係者の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。

弊社では、地元からのゲームクリエイターの輩出に貢献できるよう、今後も活動を続けてまいりたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2013年12月2日
株式会社グランゼーラ